アーカスは、茨城県大子町と新たに連携し、アーティストを29日間大子町に招聘してアーティスト・イン・レジデンスプログラムを実施した。これは、実績のあるアーカスが大子町とともに活動するなかで、企画立案や実務、アーティストとの伴走などにおける方法論を共有し、大子町の魅力や資源をレジデンスプログラムをとおして見出すことを目的としたものだ。滞在場所は、大子町の「大子アーティスト・イン・レジデンス」(通称:DAIR)である。はじめに、アーカスは大子町と候補のアーティストについて協議を重ねた。そして、国内外のレジデンスプログラムに参加した経験があり、狩猟に関心を寄せて創作活動を行っていた狩野哲郎を選出した。次に、狩野を、9月から11月にかけて、前期9日間、後期20日間DAIRに迎えた。狩野は、イノシシ猟で使う巨大な罠や優良な木材である八溝材、また古道などについて調べて制作をした。そして滞在の終わりには、オープンスタジオを行い、狩野自らが来場者へ向けて調査の過程や得られた知識、発表した試作について解説した。
また、狩野の大子町滞在中には、勉強会を狩野、大子町、アーカスの3者で行い、それぞれの経験を共有しながら、大子町のレジデンスプログラムの発展のために助言と提案をした。最後に、まとめとして、アーカスにおいて、本プログラムの報告会を行った。アーティスト・イン・レジデンス事業に関心を寄せている人や地方自治体などが参加し、本プログラムの概要や成果を巡って意見交換を行った。
日本
撮影: Takashi Arai
1980年宮城県生まれ。神奈川県在住。生物学者ヤーコプ・フォン・ユクスキュルの環世界の概念をもとに、各々の生物がそれぞれの知覚によって見出す世界の多様性に興味を持ち、鳥や植物を内包することによって作家の意図を超えて推移するインスタレーションを制作。ほかに彫刻やドローイングも展開している。国内外のアーティスト・イン・レジデンスプログラムに参加し、リサーチの過程で出会った現地の素材を取り入れながら滞在制作、発表を行う。
Field work on corral trap in Daigo
Open Studio at DAIR
Open Studio at DAIR