オープンスタジオ 開催!

20.Oct.2023

アーティストの制作現場を公開するオープンスタジオ。 1994年の開始から30年目を迎える今年度のアーティスト・イン・レジデンスプログラム。330件(65カ国・地域)の海外からの応募、14件の国内からの応募の中から選ばれた2名のアーティストの活動成果を発表します。ローラ・クーパーは英国と日本における人間とイノシシの対照的な関係を出発点に、石岡市の狩猟文化を調査をし、そして、進藤冬華は、守谷で市内外に住む人たちと、この地域に移り住んだ先祖や家族の歴史を紐解き、それぞれの「背景を交換する」対話を通じて、制作を行いました。
展覧会とは少し異なるオープンスタジオ。それはアーティスト本人と彼らのスタジオで対話しながら制作過程を体験することのできる機会です。芸術活動を通して、普段私たちが気づかないような私たちを取り巻く環境に気づき、アーティストの視点から新たな世界を知ることのできる4日間です。
ぜひアーカススタジオへお越しください。

     
期間
11月23日 (木)~26日 (日) 13:00 -18:00
会場
アーカススタジオ
入場料
無料
アーティスト
ローラ・クーパー [英国]
進藤冬華 [日本]
特別展示
ミロナリウ(クロディアナ・ミローナ、ユァン・チュン・リウ)[アルバニア、台湾]
お問合せ
TEL 0297-46-2600(アーカススタジオ)

※タイムテーブル・内容については追加・変更の可能性があります。

プログラム

11/25日(土) 11:00-12:15

キッズツアー

小学生対象のスタジオ鑑賞ツアー。定員15名 ※日本語のみ、要予約:締切 11月22日(水)

ご予約はこちら

11/25(土) 13:30 – 14:30

ディレクターツアー

アーカスプロジェクトディレクター小澤慶介による ガイド付きスタジオ鑑賞ツアー。※逐次通訳あり、予約不要

11/25(土)15:30 – 17:00

関連トーク「宇宙のレンズで、わたしたちのアートを考えるとき」

地球温暖化や戦争、疫病、自然災害などさまざまな危機に見舞われているいま、なぜアートなのでしょうか。コモディティとして資本主義経済を加速させるアートが注目されるなか、一方で、もともと「技」を意味するそれは、この混迷する世界を解きほぐすものにもなると想定してみます。その時、それは形あるものとしてではなく、もしかしたら宇宙の営みのように絶えず運動しながら定まらないものとして現れ出てくるのかもしれません。芹沢氏がこれまでに手がけた仕事に触れながら、この時代とアートの結び目を読み解きます。

            

※日本語のみ・英語ウィスパリングあり、予約不要
スピーカー:
芹沢高志 [P3 art and environment 統合ディレクター]
小澤 慶介 [アーカスプロジェクト ディレクター]

芹沢高志

Serizawa Takashi

[P3 art and environment 統合ディレクター]
1951年東京生まれ。神戸大学理学部数学科、横浜国立大学工学部建築学科を卒業後、株式会社リジオナル・プランニング・チームで生態学的土地利用計画の研究に従事。1989 年にP3 art and environmentを開設。1999年までは東長寺境内地下の講堂をベースに、その後は場所を特定せずに、さまざまなアート、環境関係のプロジェクトを展開している。帯広競馬場で開かれたとかち国際現代アート展『デメーテル』の総合ディレクター(2002年)、アサヒ・アート・フェスティバル事務局長(2003年~2016年)、横浜トリエンナーレ2005 キュレーター、別府現代芸術フェスティバル『混浴温泉世界』総合ディレクター(2009年、2012年、2015年)、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)センター長(2012年〜2021年)、さいたまトリエンナーレ2016ディレクター、さいたま国際芸術祭2020参与を歴任。さいたま国際芸術祭2023プロデューサー。著書に『この惑星を遊動する』(岩波書店)、『月面からの眺め』(毎日新聞社)、『別府』(ABI+P3共同出版プロジェクト)、港千尋との共著『言葉の宇宙船 わたしたちの本のつくり方』(ABI+P3共同出版プロジェクト)、訳書にバックミンスター・フラー『宇宙船地球号操 縦マニュアル』(ちくま学芸文庫)、エリッヒ・ヤンツ『自己組織化する宇宙』(工作舎、内田美恵との共訳)、ピーター・マシーセ ン『雪豹』(ハヤカワ文庫 NF)など。

11/26(日)14:00 – 16:00

エクスチェンジ・レジデンシー・プログラム2023報告会

「韓国/日本滞在報告:溶け出す境界、発酵する社会」

アーカスプロジェクトと韓国のセマ・ナンジレジデンシーによるエクスチェンジ・レジデンシー・プログラムの活動報告会を開催します。韓国に滞在した永田康祐と、アーカスプロジェクトが招聘した韓国のアーティスト・コレクティブ、Rice Brewing Sisters Club(RBSC)のソン・ヘミンとリュ・ソユンが約2ヶ月間の滞在制作と今後の展望について話します。これまで国家とイデオロギーによる同化と排除を、食文化という観点から洞察してきた永田は、韓国滞在中、大日本帝国統治時代の酒造の歴史などを調べながら、ソウルの米農家や醸造所の協力を得てマッコリの自家醸造に挑戦しました。世代を超えた食品の調理や消費の伝統にまつわる歴史的、文化的、政治的物語を、米などの発酵プロセスになぞらえて表現してきたRBSCは、海女について調査し、日本各地の海女や研究者との対話を通じて、漁をめぐる環境的な配慮や労働の観点から海女を捉えなおすことを試みました。両者の試みはコミュニティや生産者といった人的な要因だけではなく、微生物や気象といった目に見えないものにも影響を受けながら拡張していきます。その終わりのない実践は、変化を続ける「発酵」に似ているのかもしれません。2組の活動を通して私たちの生きる危機の時代と未来を考えます。

※オンライン同時配信あり 〈逐次通訳あり〉 ※要予約 (予約締切:11月24日[金])

ご予約はこちら

スピーカー:
永田康祐、Rice Brewing Sisters Club(*RBSCはリモート参加)

モデレーター:
藤本裕美子 [アーカスプロジェクト コーディネーター]

2023年度招聘アーティスト

ローラ・クーパー

英国

1983年、英国シュルーズベリー生まれ、バーミンガム在住。アーティストで映像作家であるクーパーは、人間の身体的な制限、また他の人間や生き物の不可知性に関心を寄せ、人間と動物の関係を探求したり人間中心的ではない生活実践を試みたりして、知られざる領域と視点へ歩みよりながら制作を行っている。映像は、可変的で詩的、また人が参加することで成立するドキュメンタリーであることが多い。特定の風景や動物、コミュニティと応答しながら制作するため、これまでに農家や狩猟者、鷹匠、不動産開発者、療法士、科学者などとのコラボレーションをしてきた。アーカスプロジェクトでは、イノシシをモチーフに英国と日本の動物をめぐる文化の違いに着目し、狩猟の現場を調査しながら作品制作を行う。過去の主な展示・活動に「The Political Animal」Hermione Spriggs とのパフォーマンス (The Showroom、 ロンドン、 2017)、 LAM 360°(ウランバートル、 モンゴル、2012)、「Autumn Almanac: The Voice and the Lens」 (IKON Gallery、Birmingham、 UK、2012)などがある。
https://lauracooper.co.uk

進藤冬華

日本

1975年、北海道生まれ、江別市在住。生まれ育った北海道の歴史や文化を紐解きながら、日本とそれに留まらぬ国々の近代化を進めた見えざる力関係を照らし出すような作品を制作している。時に、近代とともに制度として整備された美術館やその展示方式を使い、北海道の生活文化に言及するオブジェを展示している。その根底には、アーカイブや遺物、伝承などの記録をとおして「残すこと」への社会的な欲望とともにそれへの不信という両義性が原動力としてある。一方で、近代社会の中央集権的なあり方をよそに、自治の思想に基づくアナキズムや地域社会の状況へも関心を寄せ、観察や調査を経て行うパフォーマンスやツアーを手がけている。アーカスプロジェクトでの滞在制作では、移民や防災をキーワードに調査を進め、制作を行う。過去の主な展示・活動に「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」(森美術館、東京、2022-2023)、「移住の子」(モエレ沼公園、札幌、2019)、International Studio & Curatorial Program (レジデンスプログラム参加、ISCP、ニューヨーク、2017)などがある。
https://www.shindofuyuka.com

特別展示

ミロナリウ(クロディアナ・ミローナ、ユァン・チュン・リウ)

アルバニア、台湾

Photo: Pichaya Puapoomcharoen

【滞在期間:10月26日-12月16日】 2020-2021年度オンライン・レジデンスプログラム参加アーティスト。 空間デザイナー兼リサーチャーであるアルバア出身のクロディアナ・ミローナと台湾出身のユァン・チュン・リウによるロッテルダム在住のデュオ。ハーグ王立芸術アカデミーでインテリア・アーキテクチュアを学び、建築を軸に領域横断的な活動を展開している。その発表形式は、建築の実践、映像、書籍、展覧会、ワークショップなど多岐に渡る。 アーカスでは大日本帝国の統治下の台湾で品種改良されたジャポニカ米「蓬萊米(ほうらいまい)」について調べ、風景に折り込まれた目に見えない力のありかを明らかにする試みを行っている。
The project is supported partially by the Mondriaan Fund, the public fund for visual art and cultural heritage, the Netherlands.
https://www.millonaliu.com