2024年度オープンスタジオ開催!

22.Oct.2024

アーティストの制作現場を公開するオープンスタジオ。1994年の開始から30周年を迎えるアーカスプロジェクトのアーティスト・イン・レジデンスプログラム。512件(62カ国・地域)の海外からの応募、22件の国内からの応募の中から選ばれた3組のアーティストの活動成果を発表します。
展覧会とは少し異なるオープンスタジオ。それはアーティスト本人と彼らのスタジオで対話しながら制作過程を体験することのできる機会です。芸術活動を通して、普段私たちが気づかないような私たちを取り巻く環境に気づき、アーティストの視点から新たな世界を知ることのできる4日間です。
ぜひアーカススタジオへお越しください。

     
期間
11月14日 (木)〜17日 (日) 13:00 -18:00
会場
アーカススタジオ
入場料
無料
アーティスト
エヴァ・ザイラー
ハイフンー
丹治りえ
お問合せ
TEL 0297-46-2600(アーカススタジオ)

※タイムテーブル・内容については追加・変更の可能性があります。

プログラム

11月17日(日) 11:00-12:15

キッズツアー

小学生対象のスタジオ鑑賞ツアー。定員15名 ※日本語のみ、要予約:締切 11月16日(土)

ご予約はこちら

11月16日(土) 14:00- 15:00

スタジオツアー

アーカスプロジェクトディレクター小澤慶介による ガイド付きスタジオ鑑賞ツアー。※逐次通訳あり、予約不要

11月16日(土) 16:00 – 18:00

トーク「エコロジーとコモン」

気候危機、生態系の危機などあらゆる危機に直面するこの時代と芸術の関係を、ベルリンを拠点とするポーランド生まれのアーティスト、アリツィア・ロガルスカの実践を通して考えます。ロガルスカは、これまで東欧をはじめとするさまざまな場所の社会構造や政治的背景を労働という観点から洞察し、農家や移民労働者らとともに地域が抱える社会問題に対する具体的なアイディアを提案してきました。今回はそのなかでも政治や科学が複雑に絡まり合うエコロジーの問題を扱うプロジェクトを紹介し、地球温暖化を加速させたグローバル資本主義とも、国家主導の社会主義とも異なる社会を想像してみたいと思います。それは小さなスケールであっても、より実践的で自治的な方法で、自分を取り巻く生活環境や生態系と向き合うことから始まるのかもしれません。

             

スピーカー:
アリツィア・ロガルスカ (アーティスト *オンライン参加)
藤本裕美子 (アーカスプロジェクト コーディネーター)

            

※言語:日本語・英語、オンライン配信あり

オンライン参加のご予約はこちら(※現地参加は予約不要)

アリツィア・ロガルスカ

Alicja Rogalska

Photo: Alina Żemojdzin

ベルリンを拠点に活動するポーランドと英国にルーツをもつアーティスト。制作においてはリサーチに重きをおき、日常の社会的構造や政治的背景に焦点を当てる。特定の文脈において多様な人々と協働し、状況の構築、パフォーマンス、映像、インスタレーションなどを通して未来のための解放的なアイデアを共同で模索している。 近年の活動に、Biennale Matter of Art(プラハ、2024年)、Kunsthalle Recklinghausen(レックリングハウゼン、ドイツ、2024年)、Biennial Videobrasil(サンパウロ、2023-24年)、New Contemporaries(ロンドン/ブラックプール、2023-24年)、Jogja Biennale(ジョグジャカルタ、2023年 )、Urbane Künste Ruhr(2023年、エッセン)、Scherben/Berlin Art Prize(2022年、大賞)、マニフェスタ14 プリシュティナ(2022年)、Temporary Gallery(ケルン、2021-22年)、Kunsthalle Wien(2020-21年)、OFF Biennale(ブダペスト、ハンガリー2020-21年)などでの発表がある。現在、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ美術学部博士研究員。

2024年度招聘アーティスト

エヴァ・ザイラー

1979年ドイツ生まれ、オーストリア、ウィーン在住。有機的な素材と工業製品によって作られるオブジェによって、人間と動物の関係を問う作品を制作している。作品は、実際に人間や動物に使用されながら、社会文化的に構築された両者の関係を再文脈化する。文献をあたり、現地での調査を踏まえて制作される作品は、理論や学説をなぞる資料的なものではなく、人間とそれを取り巻くアクターの有機的で動的な関係を表象するものとして提示される。彫刻を学んだことで得られた確かな造形力と空間に対する理解力、そこにリサーチによる人間をめぐる新たな関係の探究心が加わることで、ザイラーの創作活動は近代以後の可能性を照らし出す。過去の主な展示・活動に「Tuesdays@Secession」Johanna Tinzlとのコラボレーション(Secession、オーストリア、ウィーン、2022)、BMKOESスカラーシップ(2022)、Wien Museumへの作品所蔵などがある。
https://www.evaseiler.com

ハイフンー

2011年に設立したインドネシアのジョグジャカルタで活動する7人のリサーチグループ。リサーチに重点をおくその表現は、出版物、展覧会、アーカイブ、またオープンエンドな対話、カラオケ、バーベキュー、宴会など、さまざまな形で発表される。特定の人物を選び、その人物が果たした功績からインドネシアの歴史やアイデンティティを紐解くことで、国家なるものの複雑な姿を捉えようと試みる。これまで手がけた作品に、著名な彫刻家であるエディ・スナルソ監修のもと、インドネシアの国家の歴史を見直すべく作られたジオラマをめぐる映像作品《Visualization of the national history From, by, and for whom》がある。そこでは、植民地時代の影響や、島々からできているという地理的条件、国家による暴力と報復、また複数ある言語のため、インドネシアという国家が抱える統一したアイデンティティの構築における矛盾が描かれている。過去の主な展示・活動に第58回カーネギー・インターナショナルにて「As if there is no sun」のキュレーション(ピッツバーグ、米国、2022-2023)、Jakarta International Literature Festival(Danarto dkkとして。Taman Ismail Marzuki、インドネシア、2022)、「Danarto dkk」(Buzdokuzマガジンのプロジェクトへの参加、第17回イスタンブール・ビエンナーレ、2022)などがある。
https://hyphen.web.id

丹治りえ

1983年福島県生まれ、沖縄県在住。生まれ育った福島県と現在生活をしている沖縄県が社会的な構造によって似たような境遇を経験していることに着目し、仮設的な構造物を制作して人間とモノ、また人間と環境の関係をさぐっている。福島県や沖縄県には、市民の意志よりも国家の政治的な判断によってその進むべき道が決定されたという過去がある。権力が振るわれると、有用だったものが無用になるなど急な価値の転換が起こることがある。丹治はそうした社会的な力学によって生まれる構造とともにその影で見過ごされてしまう個人的な出来事に関心を寄せ、モノや場に対する人間の感覚を揺さぶる作品を制作する。《みおぼえのある風景》(2023年)では、被災して取り壊された実家の屋内を、残された写真を頼りに似たようなモノを配置することで再現し、写真に撮ることで作品化した。それは消えてしまった実家をどれほど想起させるだろうか。我が国の地域社会を地政学的に表し、鑑賞者の認識を問う。過去の主な展示・活動に「REDRAW TRAGEDY」(Künstlerforum Bonn、ドイツ、ボン、2022)、ホテル アンテルーム 那覇のコミッションワーク(2020)などがある。
https://rie-tanji.com